808シティではトコジラミをはじめとする害虫の駆除や鳥獣対策を専門に行っていますが、私自身が過去にさまざまな駆除方法を試し、失敗を重ねてきた経験があります。
その過程で分かったのは、「ただ駆除すればいい」という単純なものではなく、環境や発生源の状況、薬剤の特性などによって最適な対応が異なるということです。
今回は過去の失敗談を赤裸々にご紹介しつつ、トコジラミの駆除方法がケースごとに異なる理由を解説します。
ぜひ駆除業者を選ぶときの参考にしてみてください。
目次
初めてトコジラミ駆除に取り組んだのは、私が殺虫剤の販売会社に勤めていた2010年ごろのことです。
当時、トコジラミ駆除に効果的な殺虫剤が判明しておらず、全国の駆除業者から「駆除方法が知りたい」と、毎月のように問い合わせがあったほどです。
私自身、ホテルや旅館、住宅など、人が生活する空間で、なるべく人体に影響の少ない駆除方法を模索していたので、まずはトコジラミ駆除の先進国であるアメリカの文献を参考に高温の蒸気を噴射するスチームによる駆除を試みました。
ホテルの客室にて家庭用スチームクリーナーを使い、寝具からカーテン、調度品の隅々まで時間をかけて処理。
昼と夜に目視でのチェックを1日に何度も行い、トコジラミの姿を見かけなくなったので「うまくいった」と思いました。
しかし、2ヶ月後にホテルから「前よりも増えている!」と連絡があり、再度調査したところ、トコジラミは元いた部屋も含め周囲の他の部屋にまで拡散していたのです。
スチームクリーナーを使った方法でうまくいかなかったため、次は冷却スプレーでトコジラミを凍結させる方法を試みました。
トコジラミに氷点下の冷気を直接噴霧していきますが、近距離では虫が飛ばされてしまい、少しでも離れすぎると冷気が温まって駆除に至りません。
試行錯誤の末、冷却スプレーを使った駆除は、トコジラミが吹き飛ばない程度の距離で、虫の体表に霜がおりるまで噴霧し続ける必要があることが分かりました。
ただ、隙間の奥に冷気を噴き入れようとすると、隙間の入口で霜ができて隙間をふさいでしまい、奥まで冷気が届きません。
ベッドの生地の裏にトコジラミが隠れていても、生地の表面に霜ができるだけで、生地の裏まで冷気は伝わりません。
結局、翌月に確認するとトコジラミの被害はさらに広がっていたのです。
被害の深刻さから殺虫剤を使うことにしました。
日本ペストロジー学会や日本衛生動物学会などが2010年ごろに発表した内容では、有機リン系の殺虫剤に効果があるとされていたので、フェニトロチオンの水性乳剤で駆除することに。
すると、翌月にはトコジラミの数が急激に減少し、粘着トラップを仕掛けて定期的に確認したところ、3ヶ月ほどで駆除が完了しました。
有機リン系の殺虫剤であれば、抵抗性トコジラミ(俗にいうスーパートコジラミ)にも効果があることが分かったので、その後は殺虫剤を主に使用するようになりました。
しかし、後にそれが過信だったことに気づかされます。
ホテルでの一件から数年後、とあるメーカーと共同で新規殺虫剤を使った駆除の実験をすることになりました。
「有機リン系の殺虫剤なので効くはずだ」と思っていましたが、1匹も死ななかったのです。
不審に思い、その場で生き残ったトコジラミを採取し、とある研究機関に送って調べたところ、国内で使用されている全ての殺虫剤でも死ぬことはありませんでした。
メディアでは抵抗性の高い(スーパー)トコジラミが話題になることもありましたが、実はそれをはるかに上回る殺虫剤抵抗性を持っているトコジラミ(俗称はありません)が見つかっていたのです。
もはや殺虫剤での駆除は不可能と判断し、壁紙・カーペット・家具類を全て廃棄。
さらにスチーム処理と粘着トラップの併用で物理的に駆除を行うしかありませんでした。
また、別のホテルでは「ネッタイトコジラミ」の駆除を行うこともありました。
この種は非常に強い薬剤抵抗性を持っており、有効な殺虫剤がこれといって決まっていません。
そのため、事前に殺虫剤試験を行い、何が効くのかを知る必要があります。
試験の結果、どの殺虫剤も効かなかったので、地元の業者と連携し、粘着トラップやスチーム処理などを数ヶ月にもわたって行い収束させました。
10年以上に及ぶトコジラミ駆除の経験から分かったのは、「これさえやれば駆除できる」という万能な方法は存在しないことです。
高温の蒸気を噴射するスチームや冷却スプレーでの殺虫は可能ですが、直接当てないと死なないため、隠れている虫は取り逃してしまい、全滅させることはできません。
808シティではさまざまな殺虫剤から使用するものを選び、掃除機も使って捕獲するなど、トコジラミによる被害をできるだけ減らすために複数の手法を組み合わせています。
宿泊施設やご家庭など、一件一件の状況に合わせて最適な駆除方法を提案させていただきますので、トコジラミ被害にお悩みの方はぜひ808までご相談ください。
【足立雅也 プロフィール】
808シティ株式会社 代表取締役社長。
大手害虫駆除業者で様々な害虫駆除を体得し、その技術を競う全国大会で優勝実績を持つ。
現場での駆除作業にとどまらず、関連する協会や学会の役員を務めるなど業界活動にも意欲的。
日本全国で数々の講義・講演を行っており、トコジラミの講演数は200を超える。
「トコジラミ研究会」のメンバーとして、『トコジラミ読本』(日本環境衛生センター・2013年出版)を監修。
東京・神奈川・埼玉を中心とした関東圏から、
大阪を中心とした関西圏など、広域にわたって対応しております。
どの地域の方も、まずはご相談ください。
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